SONY TA-DR1のパワーモジュール・グレードアップについて(後編)

 入手したTA-DR1mosを早速つないで、音を出す。
つなぎ替えたばかりだから、まだ本来の音は出ないと思いつつ、
PADのシステムエンハンサー(バーンイン用のCD)を2回ほど廻して、
試聴する。
 ボリュームの位置が9時の位置から15度程度絞った時の音圧が、
バージョンアップ前ものと同じくらいで、聴感的な出力が向上して
いるのが確認できた。

 バージョンアップ後、1年ほど経過しているようなので、
MOS FETモジュールのバーンインは既に完了していおり、
2〜3日もすれば、本格的な音になると考えていた。

 毎日会社から帰ってくると、まずPADのシステムエンハンサー
を2回ほどかけた後、2時間くらい試聴した。
3日目くらいから、バージョンアップ以前のものに比べ
低域の厚みが増しているのがわった。

 しかし、その低域は伸びがなく、詰まった感じである。
高域もFOSTEXのT90A-EXの繊細な拡散するような音が出ていない。

 サウンドデザインの石田氏は私の質問に、バージョンアップによって、
「高域の繊細感、しなやかさはそのままに、低域の制動力、駆動力が
向上し、音の数も増します」との回答たったが・・・・・。

SONY_TA-DR1F2





 一週間ほどたつと、バージョンアップ前よりは「少しはましかな?」
くらいの感じにはなった。
翌日曜日は朝、フトンの中で1時間くらい聴いた後、エンハンサーを
かけ放しにして午後3時頃から、聴き始めた。
かれこれ5回くらいは廻しただろう(エンハンサーは1回74分)。

 なかなか思っているとおりの音にならず、しびれを切らしていた私は、
ここで私が持っているCD中でも一番の良いSACDを、いきなり
11時30分のボリュームでかけてみた。
 するとどうだろう。
今までこのCDで聴いたことのないような、一番素晴らしい音が飛び
出したのだ。

 な、なんだ! これは!
低域は弾むように伸びており、部屋全体を震わせている。
高域はいきなり、バージョンアップ前を超えて、さらに実在感が
増している。
 いやぁー素晴らしい。実に素晴らしい!!

 後でわかったことだが、前所有者はiLINKを使用していなかったのだ。
ディジタル端子だけを使っていたとのことである。
 入出力端子も使わないでいると、初めて使ったときは良い音はでない
というが、iLINK端子は線だけでなくiLINK回路があり、入出力の機能を
持っている。これのバーンインができていなかったと推察される。

 日曜日の夕刻に、いきなり一回目のバーンインがきて以降、
色々なCDをかけてわかったことは以下の通り。
バージョンアップ前のTA-DR1と比べて、

1.低域の駆動力が向上し、その馬力、厚み、伸びが増す
2.SPの制動力が向上することにより、よけいな付帯音が
  大幅に減少する
3.付帯音の減少によって一聴して少し音が細くなったように
  感じるが、よくよく聴くと実在感が増し、音の重なりや、
  和音が明瞭に聞こえる
4.低域の質の向上は、高域にも良い影響を与え、そのきらめきや
  繊細感、実在感とも増す
5.中域も充実し、全帯域にわたって非常に良いバランスで
  音楽を奏でる

という感想をもった。

 バージョンアップ代105,000円はこの音質向上に比べたら、
安いと断言できる。
この音なら、高級セパレートアンプも上位クラスでないとかなわない
のではないだろうか。

 このTA-DR1mosは、同じくSONYのSCD-DR1やスピーカーともだんだん
しっくりいくようになっており、日々聴きやすさが増している。

                             (終り)